2005年9月8日をもって
当店は閉店いたしました。

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中国シルクロードの穴場的見どころや人々のくらしなどについて書いていきたいと思います。のんびりと更新していきたいと思いますのでときどきのぞいてくれると嬉しいです。



Vol.011 シルクロードなんでもベストテン(5)
シルクロード長城10景 前編


世界最大の建造物であり、世界遺産にも登録されている万里の長城は、歴代の中華帝国の生命線の役割を担ってきました。シルクロードに残る長城はその厳しい自然環境もあって朽ちている部分が多いですが、そのぶん、歴史のロマンをかきたてます。陝西、内蒙古、山西、河北、遼寧の長城の名所もいずれ訪ねてみたいと思っています。


1位 臨?(さんずいに兆)秦長城【甘粛省臨?県】
『史記』「蒙恬列伝」に、秦は天下統一を果たすと蒙恬(もうてん)に命じて長城を築かせた、とあります。「臨?(さんずいに兆)より起こり遼東に至る」。その起点をみたくて現地の人にたずねながら行ったところ、秦長城は2000年以上の風雪に耐えて大地をうねっていました。「地形に因り険を用いて塞を制す」(『史記』)とにあるように、峻険な山の稜線に沿って高さ数メートルの土の城壁(版築)がつづいていたのでした。私がたどり着いたところから臨むと、長城は西の山のかなたへさらに延びていたので本当の最西端とはいえませんが、ほぼそのポイントにこれたということで満足でした。県城から東へ田舎道を20数キロ走り、最後の数キロは大きな河原があったため車では進めず徒歩で行きました。地名は「長城坡」です。


2位 嘉峪関【甘粛省嘉峪関市】
いまさら説明するまでもなく明長城の西端です。嘉峪関じたいもちろん見どころではありますが、ここまで来たら「万里長城第一〓(「とん」・土へんに敦)」と「懸壁長城」にも足を伸ばしていただきたいです。第一トンは嘉峪関から南へ7キロ、懸壁長城は北東へ7キロ、どちらもバイクやタクシーをチャーターして行きます。長城が北大河の絶壁で途切れる(見方を変えれば始まる)ドラマチックな景観、傾斜45度の山の斜面を昇竜のようにうねりながら駆け上がる雄姿・・「天下雄関」を彩るにふさわしい長城のパフォーマンスといえましょう。写真はインイン店長撮影の『歩き方 西安・シルクロード』掲載のものをご覧下さい。


3位 敦煌漢長城【甘粛省敦煌市】
今はいい道路ができましたが、かつては砂漠の轍をたよりに玉門関まで行きました。玉門関から西北へ少し行ったところに漢長城の最も保存状態がいいところがあります。高さ3メートルほどの土壁が、数十メートルにわたって続いています。かたわらには烽火台があり、化石のようになった藁が2000年の歴史を物語っています。ここからはるか楼蘭近くまで続いていたのかと思うと、歴史のロマンを感じさせずにはいられません。



4位 烏鞘嶺明長城【甘粛省天祝蔵族自治県】

鉄道ファンの知人が「中国でSLを撮る有名なポイントのひとつが烏鞘嶺です」と言っていました。峠を貫く1.5キロのトンネルを抜けて、人工衛星からも確認できるというM字にうねる線路をSLが登っていく姿が絵になるそうです。残念ながらいまはSLは走っていませんが、海抜約4000メートルの峠を蘭新鉄道はいまも登っています。この烏鞘嶺の広い谷間の草原や山肌に点々と残る、朽ち果てた長城の風景は雄大です。天祝はチベット圏ですので牧歌的な空気があって、河西回廊をバスで行くのならばここはぜひ昼間に通過してほしいところです。


5位 山丹明長城【甘粛省山丹県】
西へ向かって武威を過ぎると、甘新公路はゴビ灘の一本道となります。すると右手に明長城の土壁が道路と併走するようにあらわれます。そしていきなり斜めに道路を横切ってゴビの彼方へと遠のいていきます。広大なゴビを突っ切って進む「山丹古長城」はシルクロードの絶景のひとつといえるでしょう。道路を横切るところがちょうど烽火台になっていて、かたわらには博物館があり、出土品や明代の貴族のミイラが展示されています。また、山丹はニュージーランドのルイ・アリーが各種の技術者を育成するために開設したバイリー工芸学校があったところ。その献身的事業を記念する陳列館が市街にあるので時間があったらぜひ訪れてみてください。